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　在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2023年5月には月間動画再生数が3億5877回と過去最高を更新し、7月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数（MAU）も2830万の過去最高記録に達するなど、もはや定番のサービスとなった。今や「見逃し配信」は当たり前となったが、やはりTVerではドラマが圧倒的に見られており、ドラマの見逃し配信需要がこのサービスを牽引していると言えるだろう。

　しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。

　そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。総合ランキングのトップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は12月16日（土）～12月22日（金）までを観測（1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェック）した結果をお伝えする。

『うちの弁護士は手がかかる』『下剋上球児』が追い上げるも順位は動かず

　今回の結果は以下のとおり。

　予想どおりフジ木曜劇場『いちばんすきな花』が11週連続での首位をキープ。ドラマの評判は割れているが、今期ドラマで圧倒的なお気に入り登録者数を誇っていたこともあり、その強さはさすがといったところ。12月15日の発表時点（第9話まで）でTVer・FODでの累計再生数は3000万を突破していたが、最終的にはどこまで伸ばせただろうか。

　しかし注目すべきは『いちばんすきな花』に追いつきそうな勢いを見せたフジ金曜ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』。常に『すき花』に押されてこちらも11週連続での2位だが、ポイント差は先週の49ポイント差からわずか14ポイント差と、今までになく差を縮めた。お気に入り登録者数も最終的に123万まで伸び、今期2位の座となっていたが、最終回直前の第9話（15日放送）はTVer再生数ランキングで総合トップ10内を常にキープするなどいつも以上の勢いを見せていたためだ。最終回直前の盛り上がりという面と、ひと足先に最終回を迎えたライバルドラマの退場の効果もあっただろう。『すき花』は21日に最終回、『うちの弁護士』も22日に最終回ということで、次週のデッドヒートはどちらが制するか見ものだ。

　トップ8の顔ぶれが固定化するなか、22日深夜に最終回を迎えたテレ東ドラマ24『きのう何食べた？ season2』（お気に入り登録者数は今期3位）も前週比24ポイントアップと勢いを増しているが、17日に最終回だったTBS日曜劇場『下剋上球児』も目を見張るものがある。前週比25ポイントアップとなり、5位のTBS火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』（19日最終回）にわずか1ポイント差まで迫ったのだ。先週は、7位の日テレ水曜ドラマ『コタツがない家』（20日最終回）と5ポイント差だった『下剋上球児』だが、爽やかで王道の大団円となった最終回が好評だったのか、一気に『コタツがない家』を突き放している。一方の『マイハル』は先週と同ポイントであり、最終回週ながら変化が小さかった。展開が読め過ぎた結果だろうか。最終回週で伸びなかったといえば、フジ月9『ONE DAY～聖夜のから騒ぎ～』（18日最終回）も前週比6ポイントアップに留まり、8位の座に甘んじている。

　今週9位には日テレ土曜ドラマ『ゼイチョー ～「払えない」にはワケがある～』がランクイン。これまでトップ10内にいたテレ朝木曜ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』が14日に最終回を迎え、今週は13位にランクダウンとなるなど、上位作品の退場効果もあって『ゼイチョー』は久々にトップ10にカムバックした。

　次週は多数の秋ドラマが配信から姿を消していき、大きくランキングが変動することになりそうだ。ゴールデン帯の冬ドラマは、1月8日スタートのフジ月9『君が心をくれたから』（永野芽郁×山田裕貴）から幕を開ける。秋は『いちばんすきな花』と『うちの弁護士は手がかかる』がTVer人気の1位と2位を独占してきたが、フジドラマの勢いは続くだろうか。次シーズンも楽しみだ。

〈先週の記事はこちら〉