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春ドラマTVer総合人気発表! 1位は『Destiny』それとも『Believe』?

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 6月28日にTBS系金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』が始まり、早くも夏ドラマの季節が幕を開け始めているが、毎週お届けしているEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」の春ドラマ振り返りをここで行いたい。

 「TVerドラマ人気ランキング」では1日2回、決まった時間にTVer再生数ランキングをチェックして総合トップ50の順位に対し独自にポイントを付けてきたが、下に掲載している総合ランキングは、3月30日(土)から6月28日(金)までのこれまでのポイントを合算し、放送話数で割った「平均ポイント」による順位。3月30日からとしているのは、いち早く始まった日テレドラマDEEP『肝臓を奪われた妻』(4月2日深夜スタート)に合わせたためだ。まだ日テレ土ドラ10『街並み照らすヤツら』が終わってはいないが(6月29日が最終回)、同作はほとんどTVer再生数ランキングの総合トップ50に入らないため、影響はないと考える。

 さて、春ドラマでもっともTVer人気を集めた作品は?

テレ朝 vs TBSはテレ朝に軍配、日テレは大苦戦

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 毎週お届けしている本人気ランキングでは、石原さとみ主演のテレビ朝日系火曜ドラマ『Destiny』(4月9日スタート、全9話)と木村拓哉主演のテレビ朝日系木曜ドラマ『Believe-君にかける橋-』(4月25日スタート、全9話)が首位争いを繰り返してきたが、この春ドラマ総合ランキングでは僅差で『Destiny』が1位に。

 『Destiny』は放送開始当初から勢いがあり、お気に入り登録者数は初回放送後に+34万、その翌週に+23.7万と増加ペースが早く、第3話放送後には100万の大台を突破。最終的には121.2万まで伸び、今期唯一の100万突破作として存在感を見せた。初回の見逃し配信再生数でも4月期ドラマ1位になっており、『Destiny』の首位は納得できるところがある。メインキャラクターが容疑者と疑われたり、過去の事件の謎が大きく絡んでいたり、劇伴の雰囲気や田中みな実の出演(と途中退場)といった要素が『最愛』(TBS系/2001年)のようだと序盤は指摘されていたが、全体的には韓国ドラマ風だった。最終話は拍子抜けするほどあっさり話が進み、もう少し話数があればと感じられたものの、特に第1部で視聴者を引き付けるのに成功した作品だったのではないだろうか。

 『Destiny』と競っていた『Believe』は、わずか1.7ポイント差で今期2位に。本人気ランキングでは第4話が主に対象となった5月18日~24日週から5週連続で首位、通算では7週の首位を手にしてするなど勢いがあっただけに、『Destiny』と僅差となったのも納得(『Destiny』の首位は通算3週)。最終話で世帯13.2%を記録した視聴率を加味すれば、『Believe』こそが春ドラマを制したとも言えるだろう。

 テレ朝といえば、オシドラサタデーなどの深夜帯の一部を除き、視聴率は強いが配信では弱いというのが定例だった。2022年の夏ドラマ『六本木クラス』で視聴率でもTVerでも成功し、2023年の冬ドラマ『星降る夜に』でTVer累計再生数2000万回を超える配信ヒットとなっていたが、今期のテレ朝は、『Believe』が視聴率(全話平均)で今期2位、このTVer人気では今期2位、『Destiny』が視聴率で今期4位、TVerでは1位と絶好調。オシドラサタデー『東京タワー』も人気アイドルの濡れ場や原作にない修羅場などの投入が反響を呼び、このTVer人気でも今期6位と、深夜帯では今期もっとも成功した作品となっている。

 そのテレ朝に続くTBSは、日曜劇場『アンチヒーロー』が視聴率で今期1位、TVer4位、そして金曜ドラマ『9ボーダー』は視聴率で9位(推定)、TVerは2位、火曜ドラマ『くるり〜誰が私と恋をした?〜』は視聴率で10位(推定)、TVerは9位に。

 フジテレビはというと、月9『366日』が視聴率で今期7位、TVerは5位、月10『アンメット ある脳外科医の日記』は視聴率8位、TVerは8位、水曜ドラマ『ブルーモーメント』は視聴率6位、TVerは7位、金曜ドラマ『イップス』は視聴率11位、TVerも11位、木曜劇場『Re:リベンジ-欲望の果てに-』は視聴率12位、TVerは13位という結果で、いまひとつ振るわず。

 しかしさらに厳しかったのが今期の日テレで、視聴率で今期5位と健闘した土ドラ9『花咲舞が黙ってない』はTVerで10位。そしてまさかの劇場版決定の日曜ドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』(視聴率13位)と、当初予定していた作品がキャンセルとなり急きょの制作となった土ドラ10『街並み照らすヤツら』(視聴率14位)の2作は、トップ15圏外という結果に。中でも『街並み照らすヤツら』は、前述のようにTVer再生数ランキングの総合トップ50にほとんど入ることがなく、お気に入り登録者数も最高で11.0万という、GP帯連ドラでは異例としかいいようがないほど反響がなかった。

 『街並み照らすヤツら』は事情を鑑みて除外するとしても、「日本テレビの大型プロジェクト」として大々的に始まった『ACMA:GAME』の大失敗は厳しい。日テレは多くの期で、視聴率もTVerも安定して取る作品が多かった印象だが、今期はテレ朝と日テレではっきりと明暗が分かれた格好だ。今期の日テレで唯一好材料と言えそうなのは、ウェブトゥーン原作のドラマDEEP『肝臓を奪われた妻』と読売テレビ制作のオリジナル作『約束 〜16年目の真実〜』がTVer人気総合でトップ15入りしたことで、深夜ドラマが健闘したのは救いだったかもしれない。

次週からはいよいよ夏ドラマのシーズンへ

 なお通常のTVerドラマ人気ランキング(6月22日~28日週)も最後に記しておく(※ほとんどの春ドラマが終了したためトップ10に縮小)。

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 土曜から金曜までという本人気ランキングの性質上、金曜ドラマである『9ボーダー』最終回が有利に働き首位を奪取したが、先週3位だった『アンメット』も前週比+33ポイントで2位へ上昇。また、25日スタートとなったカンテレ制作・フジテレビ系放送の火ドラ★イレブン『あの子の子ども』が早くも10位にランクインしている。

 28日にはTBS金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』が、そして7月1日にはあの『silent』チーム再集結となるフジ月9『海のはじまり』がスタートするなど、次週からは夏ドラマのシーズンが幕を開ける。はたして春ドラマよりも盛り上がる“熱い”季節となるのか。今から楽しみだ。

〈先週の記事はこちら〉

新城優征(ライター)

新城優征(ライター)

ドラマ・映画好きライター。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

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