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『Destiny』に迫る『9ボーダー』、『東京タワー』好発進…TVerドラマ人気ランキング

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 在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2024年3月には月間動画再生数が4.5億回、同1月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)が3500万の過去最高記録を更新するなど成長は右肩上がりで続いており、無料見逃し配信サービスとしてのTVerはもはや定番となった。

 しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。

 そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェックし、総合トップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は4月20日(土)~4月26日(金)までを観測した結果をお伝えする。

テレ朝『Destiny』が2週連続1位、TBS『9ボーダー』『アンチヒーロー』続く

 今回の結果は以下のとおり。

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 石原さとみ主演のテレビ朝日系火曜ドラマ『Destiny』が先週に引き続き本人気ランキングで1位に。TVerお気に入り登録者数は変わらず今期トップを走っており、先週の見立てどおり100万を突破し、103.8万(27日0時時点/以下同)に。その伸び率は前週比+13万と、さすがに先週の前週比+23.7万と比べかなり勢いは落ちているが、お気に入り登録者数今期2位となる『366日』(84.8万)との差は17万と、ますます差は広がっており、独走態勢と言えそう。

 実際、『Destiny』は放送開始の4月9日から21日の12日間における第1話・第2話の見逃し配信(ABEMA等含む)が620万回を突破しており、テレ朝のゴールデン・プライム帯ドラマ史上最速のペースで視聴されている。TVerオリジナルドラマ(亀梨和也演じる真樹の視線から描いた「ep1.5 真樹が明かす…もう一つのDestiny」)を配信しているのも後押ししているだろう。先週、〈このテレ朝火曜枠では『星降る夜に』に匹敵する配信での成功作となりそう〉と書いたが、2023年1~3月期のTVer再生数で全番組中3位となる2116万回となった『星降る夜に』の記録を超えられるか注目だ。

 その『Destiny』首位の座を揺るがしそうなのが、19日スタートのTBS系金曜ドラマ『9ボーダー』。今週は本人気ランキング2位となったが、TVerでは配信の翌々日から再生が伸びる傾向にあり、4月20日(土)~4月26日(金)対象の今週はまだフル集計とは言い難かったため、次週はもう少しポイントが伸びる可能性がある。お気に入り登録者数も現状は73.1万で今期5位という水準だが、伸び率では前週比+29.3万と勢いがある。

 とはいえ、『9ボーダー』は今後24日にスタートした水曜の『ブルーモーメント』、25日にスタートした木曜の『Believe-君にかける橋-』の勢いともぶつかっていくことを考えると、次週でポイントが伸びるかどうか難しいところでもある。

 今週3位は、同じくTBSの日曜劇場『アンチヒーロー』。初のフル集計で今週3位まで順位を上げたが、TVer再生数ランキングで総合トップ5滞在期間が4日あった『Destiny』に対し、『アンチヒーロー』は2日に留まり、『Destiny』の首位の座を脅かすほどの勢いはなさそう。お気に入り登録者数も今期4位の75.7万だが、伸び率は第3話放送を前に前週比+15.8万と早くも落ち着きはじめており、わずか2.6万の差しかない『9ボーダー』に次週抜かれそうだ。

 もっとも、世帯視聴率では初回11.5%から第2話12.8%にアップするなど上昇気流に乗っており、そのうえでTVer人気も上位にあるとなると今期の覇権ドラマの有力候補といえそう。第3話で6%台となった『Destiny』の視聴率、そして初回視聴率で今期1位の11.7%をたたき出した『Believe-君にかける橋-』のTVer人気がどうなるか。

 今週4位は広瀬アリス×眞栄田郷敦のフジテレビ系月9ドラマ『366日』で、前週比52ポイントダウンとなかなかの下落幅で先週2位からダウン。TVer再生数ランキングの推移を見てみると、4月13日~19日週は7日間ずっと総合トップ10内に滞在していたが、20日~26日の当週は総合トップ10内に滞在していたのは4日に減少したのが大きな原因だ。もっともこれは競合となる『9ボーダー』や『アンチヒーロー』などがスタートした影響であり、本来の実力ともいえそう。今週フル集計で5位となったカンテレ・フジテレビ系月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』との差もわずか11ポイントで、今後の推移によっては逆転される可能性はまだまだある。

『東京タワー』好発進の裏で…『くるり』急落、『ACMA:GAME』はトップ15圏外

 4月8日スタートだった『366日』同様に“本来の実力”が示された形となったといえそうなのが、9日スタートだったTBS系火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』で、こちらはなんと前週比103ポイントダウンという大幅下落となり、先週3位から今週8位へと下降。TVer再生数ランキングの推移を見てみると、13日~19日週は総合トップ10内に5日間滞在し、最低順位は総合15位だったのに対し、当週は総合トップ10内に滞在したのは3日に減少。最低順位は22位まで下がっている。水曜の『ブルーモーメント』、木曜の『Believe』がスタートしたことにより次週はさらにダウンする可能性もありそう。

 その『くるり』を飛び越えて初登場7位となったのは、テレ朝オシドラサタデーの『東京タワー』。岡田准一主演で2005年に映画化もされた江國香織作品(2001年)の再映像化(初連ドラ化)で、放送開始の21日と翌22日の2日間における見逃し配信(ABEMA等含む)の再生数は120万回を突破し、同枠歴代最速の記録に。

 永瀬廉と松田元太という売れっ子ふたりの出演に加え、放送直前にはこのふたりがインスタライブをするといったプロモーションも功を奏しただろうが、2005年の映画版同様に肌の露出や“濡れ場”が用意されていることもあり、居間のテレビでは見られないといった配信での視聴需要が高まったことも大きいだろう。この手のアダルトな作品はTVerでも順位を上げやすい(再生数ランキングのアイキャッチにセクシーな場面を載せて注目を集めるという戦略を取る作品も少なくない)。

 お気に入り登録者数は、深夜帯では今期トップとなる52.1万まで伸びており、全体でも今期11位。次週は初のフル集計となるが、『くるり』に続いて今週6位の『イップス』(『東京タワー』とはわずか13ポイント差)を逆転する可能性もあり、GP帯ドラマをどこまで追い抜けるか。

 そして先週、2022年の『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』の二の舞になるのではと指摘した日本テレビ系日曜ドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』だが、前週より105ポイントダウンという大幅下落でついにトップ15圏外に。先週12位から今週18位となった。TVer再生数ランキングでは当週ついに総合トップ10滞在期間がわずか1日ほどとなり、最高順位も6位、最低順位は39位と、第3話時点でますます厳しい状況。視聴率でもTVer推移でも『新・信長公記』第3話時点を大きく下回っているが、ここから浮上できるか。

 そして来週はいよいよ『ブルーモーメント』『Believe』の初フル集計となり、最後発となる日テレ土ドラ10『街並み照らすヤツら』もスタートする(27日開始)。『Destiny』はこのまま首位を保てるのか、それとも……。

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新城優征(ライター)

新城優征(ライター)

ドラマ・映画好きライター。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

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