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『Believe』が2週連続1位、『アンメット』が4位に急上昇…TVerドラマ人気ランキング

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 在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2024年3月には月間動画再生数が4.5億回、同1月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)が3500万の過去最高記録を更新するなど成長は右肩上がりで続いており、無料見逃し配信サービスとしてのTVerはもはや定番となった。

 しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。

 そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェックし、総合トップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は5月25日(土)~5月31日(金)までを観測した結果をお伝えする。

『Believe』vs『Destiny』テレ朝ドラマの激戦続く、『アンメット』は4位に急上昇

 今回の結果は以下のとおり。

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 熾烈なトップ争いは今週も、木村拓哉主演の木曜ドラマ『Believe-君にかける橋-』と石原さとみ主演の火曜ドラマ『Destiny』のテレビ朝日対決となり、わずか5ポイント差で『Believe』が2週連続1位となった。

 今週は全体的にポイントが減少しており、1位の『Believe』も500ポイント台に到達せず、前週比12ポイントダウンに。一方の『Destiny』は前週比16ポイントダウンとなった。TVer再生数ランキングでは『Believe』は総合トップ3滞在期間、総合トップ10滞在期間が先週よりわずかに減少。『Destiny』も総合トップ3滞在期間がわずかに減ったほか、総合トップ10滞在期間は1日減少している。4月25日スタートの『Believe』は第6話までが終わったところでいよいよ次回第7話で事故の黒幕に迫っており、4月9日スタートの『Destiny』は6月4日放送の次回でついに最終回。来週はさらに首位争いは激しいものとなりそうだが、どちらに軍配が上がるか。『Destiny』は5月28日放送の第8話で世帯視聴率(平均)が8%と、初回の7.9%を上回る同作最高の数字を見せているだけに、注目の一戦となりそうだ。

 本人気ランキングのトップ15は顔ぶれも順位もほぼ固定状態だが、今週はカンテレ制作・フジテレビ系放送の月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』が先週8位から4位へとジャンプアップしたのも大きな注目点。『アンメット』は前週比47ポイントアップを見せ、月9『366日』はおろか、日曜劇場『アンチヒーロー』も抜いて一気に4位へと躍り出た形だ。

 今週の『アンメット』がTVer再生数ランキングで好調だった要因の最たるものは、5月27日放送の第7話終盤、残り10分ほどの緊迫感あるシーンで、Jアラート(全国瞬時警報システム)発令により放送が中断したことだろう。翌日の夜になって急きょ深夜帯での再放送が決定したものの、TVerで放送中止になった部分をいち早く観たい視聴者が多く現れたからだとみられる。その勢いはTVer再生数ランキングの推移に明らかで、『アンメット』はこれまで同日放送の『366日』に総合1位を奪われてきていたが、今回初めて総合1位を奪取。さらに、配信直後から現時点(6月1日)までずっと『366日』を上回っているだけでなく、通常なら金曜夜あたりには総合トップ10から脱落しているのが、今週は1日0時時点でも総合9位をキープしている。

 放送中止によるTVer需要の高まりは確実に背景としてあったと思われ、お気に入り登録者数についても、先週は前週比+3.2万だったのに対し、今週は+4.4万と増加率が伸びたのだ。基本的にお気に入り登録者数の増加率は、放送が進むにつれて下がっていく(中には減少に転じる作品もある)ため、第7話まできて増加率が伸びているのも、このタイミングでTVerでチェックする人が増えたからだろう。

 だが一方で『アンメット』そのものが盛り上がってきていることも指摘しておきたい。そもそも『アンメット』は、先週の本コラムで「次週以降まだまだ伸びる気配」と指摘していたとおり、やはり全体的にポイントが減少傾向だった先週の時点でも前週比18ポイントアップの伸びを見せていた。お気に入り登録者数の増加率についても、通常は6話を過ぎれば+1~2万/週に落ち着いてくることを考えると、先週の『アンメット』が+3.2万というのは、“ドラマの実力”といえる。視聴率面でも、最新の第7話は初回と同じ自己最高の6.0%まで上昇しており、上り調子だ。

 加えて言えば、同日の『366日』の視聴率は5.7%で、ついに視聴率上でも『アンメット』が上回る形となっている。『アンメット』が『366日』の順位をTVer再生数ランキングで上回るという動きも、すでに先週後半から見えていたもの。つまり『366日』の低迷というのもある。5月27日放送の第8話でようやくメインふたりのラブストーリーへと話が戻りつつあるものの、視聴者の興味が離れつつあるのかもしれない。今週は前週比36ポイントダウンで先週6位から8位へとダウンした『366日』だが、巻き返すことはできるだろうか。

〈先週の記事はこちら〉

新城優征(ライター)

新城優征(ライター)

ドラマ・映画好きライター。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

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