冬ドラ開幕、『おっさんずラブ』強し！ TVerドラマ人気ランキング
在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2023年5月には月間動画再生数が3億5877回と過去最高を更新し、7月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数（MAU）も2830万の過去最高記録に達するなど、もはや定番のサービスとなった。今や「見逃し配信」は当たり前となったが、やはりTVerではドラマが圧倒的に見られており、ドラマの見逃し配信需要がこのサービスを牽引していると言えるだろう。
しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。
そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。総合ランキングのトップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は1月6日（土）～1月12日（金）までを観測（1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェック）した結果をお伝えする。
『おっさんずラブ-リターンズ-』が首位、月9『君が心をくれたから』も勢いアリ
今回の結果は以下のとおり。冬ドラマはここからというタイミングゆえ、今回もトップ10に縮小した形でお届けする。
先週は改編期まっただ中ということで人気ランキングの掲載を見送ったが（代わりに冬ドラマのお気に入り登録者数ランキングを掲載）、上位を占めたのは旧作の（再）配信で、1位が『VIVANT』（2023年）だったほか、2位が『5→9～私に恋したお坊さん～』（2015年放送）、3位が『コード・ブルー －ドクターヘリ緊急救命－2nd season』（2010年）、4位が『ブラッシュアップライフ』（2023年）、8位が『アンナチュラル』（2018年）、10位が『プロポーズ大作戦』（2007年）という状況だった。
大半が今週は姿を消したが、昨年の話題作だった『VIVANT』は引き続き今週も3位をキープ。見逃したという人が元旦からの再放送、それに伴うTVer配信でチェックしたのだろう。『VIVANT』は12月にNetflixでの配信もスタートし人気を博しているが、再放送は「再放送特別編集版」となっており、TVerで配信されているのもこちらの特別編集版のため、もう一度見たいという『VIVANT』ファンはNetflixではなくこちらに集まった可能性も考えられる。
また先週は6位に『孤独のグルメ 大晦日スペシャル』、7位に『義母と娘のブルースFINAL』と新春のドラマスペシャルがランクインしたが（『相棒』も元日スペシャルの影響で5位）、2日放送の『義母と娘のブルースFINAL』は今週2位に上昇。また今週は、バカリズムの新作『侵入者たちの晩餐』（菊地凛子、平岩紙、吉田羊ほか）が4位に、そして5位と10位にテレビ朝日の「松本清張 二夜連続ドラマプレミアム」となる『ガラスの城』（波瑠、木村佳乃、満島真之介ほか）と『顔』（後藤久美子、武井咲ほか）がそれぞれランクインとなり、新春シーズンらしい顔ぶれになった。
そして今週1位を獲ったのは、5日スタートとなったテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『おっさんずラブ-リターンズ-』。人気シリーズの新作ということで想定の範囲だが、特に本作は、パラレルワールドということで賛否を呼んだ第2シリーズとは異なり、第1シリーズのその後を描く「正統続編」ということでファンの期待度が高まっていた面も大きいだろう。まだライバル作品がほとんど始まっていないという時期がゆえの高順位ではあるが、放送開始に伴い、TVerお気に入り登録者数は先週の27.8万（6日0時時点）から今週58万（13日0時時点）に上昇と勢いがある。このまま上位の座をキープしていけるか注目だ。
新作連ドラでは、4日にスタートしたBS-TBS木曜ドラマ23『夫婦の秘密』が6位にランクイン。臼田あさ美主演、剛力彩芽、豊田裕大ら共演のサスペンスドラマで、「登場人物全員に裏の顔」という謳い文句の通り、謎が謎を呼ぶオリジナル作品だ。
8位には、8日スタートのフジテレビ系月9ドラマ『君が心をくれたから』が初登場。1月6日（土）～1月12日（金）までを集計するという本人気ランキングの性質上、まだフルの集計ではないため今週は8位という結果だが、TVer再生数ランキングでは2日にわたって首位を獲得、お気に入り登録者数も先週23.5万（6日0時時点）から今週62.7万（13日0時時点）にまで急増しており、次週は上位に食い込むことは確実。やはり注目度は高いようだ。永野芽郁と山田裕貴の共演、そして「世にも奇妙な月9」とでもいえそうなファンタジーな内容でどこまで伸びていくか。
9位には、東海テレビ制作のフジテレビ系土ドラ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか！』（6日スタート）がランクイン。「おっさん」の主人公が価値観をアップデートしていくというマンガ原作のドラマで、多様性を説く内容だが、あまり説教臭くならず、意外と素直に若者の言葉に耳を傾ける主人公を原田泰造が好演していることで、親しみやすい内容となっている印象だ。もっとも、あまりにあっさりアップデートに成功してしまうサクサク感を「見やすい」と受け止めるか、「リアリティがない」と感じるかで評価が分かれそうな作品でもある。
10日には『となりのナースエイド』（日テレ）が始まり、12日に『院内警察』（フジ）と『ジャンヌの裁き』（テレ東）、13日に『新空港占拠』（日テレ）、14日に『さよならマエストロ～父と私のアパッシオナート～』（TBS）……といよいよ民放ゴールデン・プライム帯の連ドラが続々とスタートし、次週から本格的に冬ドラシーズンの幕開け。盛り上がりに期待したい。
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