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『すき花』7週連続1位、追う『うちの弁護士』…TVerドラマ人気ランキング

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 在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2023年5月には月間動画再生数が3億5877回と過去最高を更新し、7月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)も2830万の過去最高記録に達するなど、もはや定番のサービスとなった。今や「見逃し配信」は当たり前となったが、やはりTVerではドラマが圧倒的に見られており、ドラマの見逃し配信需要がこのサービスを牽引していると言えるだろう。

 しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。

 そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。総合ランキングのトップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は11月18日(土)~11月24日(金)までを観測(1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェック)した結果をお伝えする。

『すき花』7週連続1位で圧勝、トップ5はそろそろ固定化か

 今回の結果は以下のとおり。

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 昨年末に記録的な人気沸騰ぶりを見せた『silent』のプロデューサー×脚本家によるフジ木曜劇場『いちばんすきな花』は、内容には議論が起こるものの、だからこそと言えるのか、TVerでは圧倒的な人気をキープ。10月14日~20日週から数えてこれで7週連続1位となった。お気に入り登録者数では先月末にいち早く100万の大台に達しており、11月25日0時時点で141.4万で今期ドラマの1位の座をこちらもキープ。今期ドラマで100万の大台に乗ったのは現状、ほかに『きのう何食べた? season2』と『うちの弁護士は手がかかる』のみで、『すき花』は2位以下に30万以上の大差をつけており、TVerにおいては『すき花』が覇権ドラマと言えるだろう。

 そしてお気に入り登録者数で今期2位の111.3万(25日0時時点)を記録するフジ金曜ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』がこちらも同様に7週連続で2位に。往年の名作ドラマを中心とした昭和~平成の小ネタが目立つが、芸達者な香澄法律事務所の面々による応酬やテンポの良さが支持される要因か。コメディ色が強いだけに、主演のムロツヨシが腹膜炎で入院したことを逆手に取った演出(次回予告が間に合っていない、ムロ演じる蔵前が緊急入院するなど)も効いており、ドラマ自体の注目度も上昇している印象だ。世帯視聴率においても全話平均5%台(かそれ以下)の作品も多い今期において、本作は6%台後半と好調。この金曜21時枠は10月期からの新枠だけに、まず第一弾は成功と言えそうだ。

 トップ5の並びはそろそろ固定化してきており、3位に日テレ日曜ドラマ『セクシー田中さん』、4位にテレ東ドラマ24『きのう何食べた? season2』、5位にTBS火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』という並びがこれで3週続いている。

 『セクシー田中さん』は今期イチと支持する声も多いが、お気に入り登録者数は80万(25日0時時点)とあと一歩伸びておらず、視聴率も下降気味なのが気になるところ。『何食べ』は、前期や劇場版もあった影響も大きい(※同一シリーズはまとめられるため、これまでのお気に入り登録者数が加算される)ものの、お気に入り登録者数が今期3位の108.4万(25日0時時点)まで伸びており、さすがの強さを見せている。ベタな胸キュンラブコメを貫いている『マイ・セカンド・アオハル』は、14日放送の第5話で佐弥子(広瀬アリス)と拓(道枝駿佑)が結ばれたかと思うと、一気にラブラブモードに突入して大きな反響を得ているところ。さらに21日放送の第6話は、北朝鮮のミサイル発射によるJアラート発令によって番組が(終盤ではあったが)途中終了したこともあって、余計にTVer見逃し需要が高まったたゆえ、翌週は『何食べ』を上回る可能性も考えられる。

月9『ONE DAY』の大低迷、一方で山下智久の過去作の強さが顕著

 6位以下は変動が大きいが、TBS日曜劇場『下剋上球児』、テレ朝火曜ドラマ『家政夫のミタゾノ season6』、日テレ水曜ドラマ『コタツがない家』で6~8位を争っている形だ。『コタツがない家』は一時は本人気ランキングで4位まで上昇するなどこの中ではトップを走っていたが、前週からやや失速気味。逆に、この中ではもっとも下位だった『下剋上球児』が盛り返してきている状況だ。

 そして序盤では本人気ランキングで3位となるなど注目度が高かったものの、右肩下がりとなっているのがフジ月9『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』だ。第5話でやっと話が動き始めた印象だが、やはりたった1日を全10~11話の連続ドラマとして描くだけあってとにかく展開が遅々としており、視聴率も4話連続で4%台と厳しい状況。TVerでの動きも鈍くなってきている。豪華キャストを擁した月9ドラマだけに、さすがに放送後にはTVer再生数ランキングで総合トップに立ち、その後もトップ30内は維持しているものの、トップ10滞在期間は3日にも満たないなど下降スピードがとにかく速い。

 さらに『ONE DAY』で重大なのが、お気に入り登録者数が減少していっているということだ。通常、連ドラ放送時期はわずかであってもお気に入り登録者数は増えていく傾向にあり、深夜ドラマだと増えも減りもしないか、(1000単位の)微減ということはあっても、ゴールデン帯のドラマで放送中にお気に入り登録者数が減るのはきわめて珍しい。しかも『ONE DAY』の場合、11月4日0時時点で74.7万まで達したが、11月25日0時時点で73.4万と1万以上減少しており、10月28日0時時点での73.7万を下回ってしまっている。これにより、11月4日0時時点ではお気に入り登録者数で『ONE DAY』に劣っていた『マイ・セカンド・アオハル』(11月4日0時時点で71.5万→25日0時時点で88.3万)や『セクシー田中さん』(11月4日0時時点で64万→25日0時時点で80万)に抜かれ、お気に入り登録者数は今期7位にまで転落してしまったほか、このままいけば『下剋上球児』(25日0時時点で72.4万)に抜かれる未来もありうる。

 今期はほかにもフジ水曜ドラマ『パリピ孔明』やテレ朝日曜ドラマ『たとえあなたを忘れても』などでわずかながらお気に入り登録者数の減少が確認されるほか、深夜帯の日テレ金曜ドラマDEEP『秘密を持った少年たち』は1カ月以上前から減少が止まらず、14.2万(10月14日0時時点)から12.1万(11月25日0時時点)と下降の一途をたどってしまっている。放送されているドラマの数も増えているだけに、「期待外れ」の作品にはシビアにお気に入り登録を外す動きが目立ち始めているということだろう。

 その一方で驚かされたのが、2015年放送のフジ月9ドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』と2008年放送のフジ木曜劇場『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』のランキング入りだ。これはフジテレビ開局65周年を記念して11月11日から始まった『フジドラWINTER!』という企画で無料配信が始まったものだが、いずれも山下智久の主演作。作品そのものの人気ということもあるだろうが、主演映画・ドラマが続々と公開・配信されて山下が俳優としてふたたび注目度が高まっているタイミングということもあるだろう。特に石原さとみと共演したマンガ原作の『5→9』は配信が望まれていたようで、TVer再生数ランキングでもトップ10に入ることがめずらしくなく、本人気ランキングでも10位をキープ。懐かしむ層だけでなく、視聴者の約25%は15歳~19歳が占めているというから、また驚きだ。つい最近まで、旧作がTVer再生数ランキングの上位に来るのは改編期で新作連ドラが放送されていない時期に限っていたが、TikTokなどで過去の名曲にもふたたび脚光が集まっているように、今後はTVerで往年の名作ドラマが再ブレイクする例も出てくるかもしれない。

新城優征(ライター)

新城優征(ライター)

ドラマ・映画好きライター。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

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