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　在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2024年3月には月間動画再生数が4.5億回、同1月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数（MAU）が3500万の過去最高記録を更新するなど成長は右肩上がりで続いており、無料見逃し配信サービスとしてのTVerはもはや定番となった。

　しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。

　そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェックし、総合トップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は8月3日（土）～8月9日（金）までを観測した結果をお伝えする。

『海のはじまり』『ブラックペアン』1位＆2位は4週連続で変動なし

　今回の結果は以下のとおり。

　今週の対象期間はオリンピックの関係で『青島くんはいじわる』（8月3日休止）、『夫の家庭を壊すまで』（8月5日休止）、『南くんが恋人!?』（8月6日休止）、『あの子の子ども』（8月6日休止）、『ギークス～警察署の変人たち～』（8月8日休止）など放送休止となる作品が多く、本人気ランキングにも影響が出ている。

　そんななか、『海のはじまり』と『ブラックペアン』がトップ2の座をキープしている体制は変わらず。フジテレビ月9ドラマ『海のはじまり』はこれで5週連続の1位となるが、『ブラックペアン』とのポイント差は先週よりも開いており、独走ぶりを改めて見せつけた。実際、競合が減った影響もあって今週はTVer再生数ランキングで全日つねに総合トップ5内という圧倒的な強さだった。

　『海のはじまり』は、FODを含む「無料見逃し配信」で本編とスピンオフ合わせて累計3000万回再生を突破。5日放送で第6話と折り返しまで進んでいるにもかかわらず、TVerのお気に入り登録者数は前週比＋8.1万のペースで増加（3日0時時点で169.8万→10日0時時点で177.9万）とまだまだ勢いがある。とっくに『いちばんすきな花』の最大値（最終話で150万弱）を超えているが、最終話までに200万の大台に到達する可能性も十分にあるだろう。

　TBS日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』は引き続き2位のポジション（4週目）。お気に入り登録者数も『海のはじまり』に続く今期ドラマ2位（118.4万／10日0時時点）で、現状100万を突破しているのはこの2作のみということで、『海のはじまり』と『ブラックペアン』の2強体制が続いているのも納得だ。

　ただ、お気に入り登録者数100万まであと一歩まで来ているのが、本人気ランキングで今週3位となったTBS火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』だ。お気に入り登録者数で今期ドラマ3位まで上昇したことは先週お伝えしたが、第5話まで終わり増加幅は落ち着いてきたものの、それでも3日0時時点で91.5万→10日0時時点で96.5万と前週比＋5万で増加しており、早くて次週、遅くとも次々週には今期3作目のお気に入り登録者数100万突破ドラマとなるだろう。

　そうした勢いもあってか、『西園寺さん』は前週比45ポイントアップ。2位の『ブラックペアン』とわずか7ポイント差にまで迫った。競合となる月曜深夜～火曜夜の『夫の家庭を壊すまで』『南くんが恋人!?』の放送休止がポイントアップ（＝Tver再生数ランキングの総合順位の上昇）の大きな要因だろうが、しかし『西園寺さん』第5話はコメディ部分もラブ部分も力が入っており、ドラマ自体も盛り上がっている。

　『ブラックペアン』は11日は放送休止となり、第6話は18日の放送となるため、本人気ランキングでは次週、大きく順位を落とすことになるだろうが、勢いのある『夫の家庭を壊すまで』と『西園寺さん』との2位争いはその後も熾烈になるかもしれない。とくに『夫の家庭を壊すまで』は5日は放送休止だったにもかかわらず6日夜にTVer再生数ランキングで総合5位まで再浮上。「ネットでテレ東」を含む見逃し配信総再生数は累計1000万回を突破するなどテレ東の深夜ドラマとしては破格の勢いがあり、先週は本人気ランキングで3位まで上昇した。トップ3争いがどこまで激化するのか、今後が楽しみだ。

　オリンピックによる「1週お休み」の影響で、先週3位だった『夫の家庭を壊すまで』が今週11位に、先週7位だったテレ朝オシドラサタデー『青島くんはいじわる』は今週14位にダウン、先週10位だったテレ朝火曜ドラマ『南くんが恋人!?』は今週トップ15圏外（16位）となり、他作品はそれぞれ順位がわずかに上昇。おかげで先週17位だった日テレ土ドラ10『マル秘の密子さん』が初めて本人気ランキングでトップ15内に入っている。

　8月10日（土）～8月16日（金）が対象となる次週も、『ブラックペアン』や『ギークス』などの休止の影響が出るとみられ、正常化するのは翌々週となる見込み。テレ朝木曜ドラマ『スカイキャッスル』もようやく第3話まで進み、作品への評価も定まり始めているが、翌々週のトップ5の顔ぶれはどうなるだろうか。

〈先週の記事はこちら〉