『西園寺さん』2位に上昇、『スカイキャッスル』は3位に…TVerドラマ人気ランキング

 在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2024年7月には月間動画再生数が4.8億回、同1月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)が3500万の過去最高記録を更新するなど成長は右肩上がりで続いており、無料見逃し配信サービスとしてのTVerはもはや定番となった。

 しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。

 そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェックし、総合トップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は8月10日(土)~8月16日(金)までを観測した結果をお伝えする。

6週連続1位『海のはじまり』の独走さらに強まる、『西園寺さん』は2位に上昇

 今回の結果は以下のとおり。

 今週も、『ブラックペアン シーズン2』(12日休止)を筆頭にオリンピックのために放送休止となった影響が、本人気ランキングの順位にも出ている。

 変わらず放送が続いていたフジテレビ月9ドラマ『海のはじまり』の強さは引き続きで、2位以下に大差をつけて首位を独走。これで6週連続1位となった。先週はTVer再生数ランキングで全日つねに総合トップ5内という圧倒的な強さだったが、今週も競合が減っている関係もあって総合トップ6内をキープ。水季(古川琴音)と弥生(有村架純)の思わぬ因縁が明らかにされた第6話(5日放送)も、見逃し配信(TVer+FOD)の再生数が1週間で434万を記録し、初回(1週間で465万再生)に続く再生数となる反響があった。

 第1話~第6話にスピンオフシリーズ『兄とのはじまり』を含めたTVer+FODの累計再生数は、12日時点で3750万を突破しており、12日放送の第7話までで4000万の大台を突破しそうだ。お気に入り登録者数の伸びはいよいよ前週比+6.3万(10日0時時点で177.9万→17日0時時点で184.2万)とさすがに落ち着いてきたが、今期ドラマでお気に入り登録者数2位の『ブラックペアン』(17日0時時点で120.3万)との差はついに60万以上にまで開いており、『海のはじまり』の独走態勢はさらに強まっている。

 前述のとおり『ブラックペアン』は1週休みとなった影響で今週は12位に後退。代わって先週のトップ7がひとつずつ順位を上げる結果となり、TBS火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』がついに本人気ランキングで2位にまで達した。

 先週は、同じ火曜放送のテレ朝系『南くんが恋人!?』や月曜深夜の『夫の家庭を壊すまで』が休止だったことでTVer再生数ランキングの順位が上昇したと思われるが、両作の放送があった今週は前週比10ポイントアップとわずかながらさらに勢いを増しており、ドラマ自体の盛り上がりがはっきりした。実際、お気に入り登録者数は100.2万(17日0時時点)に達し、先週の予想どおり今期ドラマで3作目となる100万の大台突破を達成。次週の本人気ランキングは『ブラックペアン』がふたたび上位に返り咲くことになると思われるが、先週は『ブラックペアン』と『西園寺さん』はわずか7ポイント差だったこともあり、2位争いがどうなるか注目されるところだ。

 今週3位はテレビ朝日木曜ドラマ『スカイキャッスル』。先週の4位からワンランクアップで初のトップ3入りとなった。韓国ドラマのリメイク作で、オリジナルは(日本配信版は)全36話ある内容をショートカットしていることもあってかなりテンポよく進む一方、一部設定が変更されている点などで賛否ある作品だが、同様のリメイク企画だった2022年の『六本木クラス』ほどの反響が得られていないのが気になるところ。15日放送でやっと第4話だが、お気に入り登録者数の伸びは前週比+5.1万(10日0時時点で62.3万→17日0時時点で67.4万)と早くも鈍り始めている。とはいえ次週の第5話からドロドロが加速し始めそうなだけに、本領発揮となるか。

 5日の放送が休止だったテレビ東京ドラマプレミア23『夫の家庭を壊すまで』は、10日(土)~16日(金)を対象とする本人気ランキングでは1週休みの影響をまだ引きずっており、ポイントが回復しきれていないものの、今週は7位に。お気に入り登録者数は85.3万(17日0時時点)に達し、テレ朝オシドラサタデー『青島くんはいじわる』の89.5万との差をじわじわと縮めている。

 『青島くんはいじわる』は2週休止だったことで本人気ランキングでは先週14位→今週15位となっているが、17日にいよいよ放送再開。この2週休止でお気に入り登録者数の伸びはおとなしかったが、それでも前週比+2.7万でフジ水曜ドラマ『新宿野戦病院』(88.4万)を抜き去り、今期ドラマでお気に入り登録者数4位に上昇。第7話まで進んでいる『新宿野戦病院』はお気に入り登録者数の伸びが1万を切っており、近いうちに『夫の家庭を壊すまで』が抜き去る可能性も高そうだ。

 今週の本人気ランキングで気になったのは日本テレビ日曜ドラマ『降り積もれ孤独な死よ』。土曜の『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』『マル秘の密子さん』『青島くんはいじわる』、日曜の『ブラックペアン』がいずれも10日・11日と放送休止で、競合がかなり少ない状況だったにもかかわらず、前週比22ポイントダウンという結果に。TVer再生数ランキングの推移を見ると、総合トップ10滞在期間がやや減少しているほか、総合トップ15滞在期間が1日以上減っているなど、勢いがなくなっている。

 原作マンガが完結していない同作は、第4話あたりからドラマオリジナルの展開に分岐してきており、どういう決着を見せるのかわからないところも魅力だが、いまひとつ盛り上がりに欠けるのは(同じ原作チームの)『親愛なる僕へ殺意をこめて』同様にやや正視しがたい内容も含むからか(ドラマ用にかなり抑えた表現にはなっているが)。お気に入り登録者数も『スカイキャッスル』に抜かれ今期ドラマ11位に転落。ストーリー的には折り返しを迎え、灰川邸事件の真犯人も明らかになったが、まだまだ残されている謎で後半の盛り上がりに期待したい。

 なお、18日にはABC制作のテレビ朝日系日曜ドラマ『素晴らしき哉、先生!』(生田絵梨花主演)がついにスタート。次週はこちらの動向も注目だ。

〈先週の記事はこちら〉

新城優征(ライター)

ドラマ・映画好きライター。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

関連記事