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『すき花』陥落で『うちの弁護士』が首位奪取! TVerドラマ人気ランキング

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 在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2023年5月には月間動画再生数が3億5877回と過去最高を更新し、7月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)も2830万の過去最高記録に達するなど、もはや定番のサービスとなった。今や「見逃し配信」は当たり前となったが、やはりTVerではドラマが圧倒的に見られており、ドラマの見逃し配信需要がこのサービスを牽引していると言えるだろう。

 しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。

 そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。総合ランキングのトップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は12月23日(土)~12月29日(金)までを観測(1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェック)した結果をお伝えする。

『うちの弁護士は手がかかる』予想以上の伸びを見せTVer人気で初の1位に

 今回の結果は以下のとおり。民放GP帯ドラマはすべて最終回を迎え、配信が終了となった作品も多いためトップ10に縮小する。

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 ここにきて大きな激変が。先週まで11週連続1位だったフジ木曜劇場『いちばんすきな花』(21日最終回)がついに陥落し、11週連続2位だったフジ金曜ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』(22日最終回)が初の首位を手にした。本コラムでは先週、ポイント差が縮まっていることを伝えていたが、この大逆転劇は正直予想できなかった。

 要因としては、TVer再生数ランキングにおける『うちの弁護士』最終回の勢いが予想以上だったことだ。通常は、『すき花』が放送終了後から土曜午後までTVer再生数ランキングの総合1位をキープし続け、土曜深夜あたりから日曜深夜まで『うちの弁護士』が首位に代わるも、火曜深夜あたりから『すき花』に順位を逆転される……という流れによって『すき花』の連続首位と『うちの弁護士』の2位という状況が生まれていた。しかし今回は、火曜深夜~水曜のみ『すき花』が上位(『すき花』が4位、『うちの弁護士』が5位)で、それ以外は『うちの弁護士』が常に『すき花』を上回るという動きを見せており、『うちの弁護士』は木曜(28日)午後まで常にTVer再生数ランキングの総合トップ5内にい続けた。平成ドラマの小ネタにニヤリとさせられる『うちの弁護士』だが、最終回はキャストの出演作ネタ(『ショムニ』『どうする家康』『勇者ヨシヒコと魔王の城』、番外編で『酒のツマミになる話』)まで飛び出すなど、コメディとして安定した魅力を見せながら遊び心をたっぷり散りばめられたことが大きいか。

 『すき花』は今週4位にダウンとなったが、TBSが最終回の配信を1週間以上続けているのに対し、『すき花』は放送1週間で配信終了となったため、ポイントの伸びが1日足りなかったことも大きい。これにより、3位・4位が定位置だったテレ東ドラマ24『きのう何食べた? season2』(22日深夜最終回)、日テレ日曜ドラマ『セクシー田中さん』(24日最終回)が『すき花』を追い抜く形に。なお、この2作については、『セクタナ』のほうが上位だった時期もあったが、11月25日~12月1日週から『何食べ』>『セクタナ』の位置が固定。最後はどうなるかと思われたが、前週は24ポイント差だったものの、今週は32ポイント差と、差が開く形に。『セクタナ』は不幸なことに、同日に高視聴率をたたき出した『M-1グランプリ2023』の放送があり、TVer再生数ランキングの総合1位の座を『M-1』がしばらく独占し続けたたため、今週は『セクタナ』が1位を獲れなかったことが大きく影響している。

TVer人気・世帯視聴率の両方で成功した『うちの弁護士』『下剋上球児』

 秋ドラマの放送が終了したので、最後に今期の視聴率についても少し言及しよう。

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 世帯視聴率は相変わらずテレ朝が強い。一方でテレ朝ドラマはTVerにおいては、シリーズものである『家政夫のミタゾノ』と、混沌としたアクの強い展開で好みが分かれた木曜ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』が健闘したといった程度で、配信の弱さが目立つのもいつもどおり。冬ドラマは、道枝駿佑主演×武藤将吾(『3年A組 ―今から皆さんは、人質です』)脚本の『マルス-ゼロの革命-』や、深夜帯ながら人気シリーズである『おっさんずラブ-リターンズ-』あたりがTVer人気が高そうだが、どうなるか。

 フジドラマは世帯視聴率面では全体的に低迷したが、『いちばんすきな花』が圧倒的なTVer再生数を稼いだほか、金曜21時の新枠第一弾となった『うちの弁護士は手がかかる』の成功も大きなポイントだ。『うちの弁護士』は前述のとおり、『すき花』に続くTVer人気をキープしていたが、世帯視聴率でも今期4位に。この時間帯のリアルタイム視聴率は日テレの金曜ロードショーに左右されやすいことを考えると、健闘したといえるだろう。1月期はマンガ原作となる桐谷健太×瀬戸康史の『院内警察』でガラっと雰囲気が変わりそうだが、『うちの弁護士』の成功に続けるか。

 日テレは視聴率もTVerもほどほどにといった感じだが、『コタツがない家』『セクシー田中さん』がドラマファンには好評だったわりに視聴率でもTVerでもいまひとつ伸びなかったのは少々気がかり。TBSは日曜劇場が変わらず強かったが、一方で、金曜ドラマの『フェルマーの料理』は厳しい結果に。視聴率でワースト5位になった火曜ドラマの『マイ・セカンド・アオハル』はTVer人気ではトップ5を維持していたが、視聴率でワースト2位となった『フェルマーの料理』はTVer人気もいまひとつだった。1月期の金曜ドラマは宮藤官九郎作の『不適切にもほどがある!』ということでドラマファンの注目度は高いが、巻き返せるだろうか。昨今の日曜劇場らしからぬ題材となる西島秀俊×芦田愛菜の父子ドラマ『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』がどうなるかも気になるところだ。

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新城優征(ライター)

新城優征(ライター)

ドラマ・映画好きライター。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

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