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『離婚しない男』と『婚活1000本ノック』が接戦、1位は…TVerドラマ人気ランキング

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 在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2023年12月には月間動画再生数が3.98億回と過去最高を更新し、7月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)も2830万の過去最高記録に達するなど、無料見逃し配信サービスとしてのTVerはもはや定番となった。

 しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。

 そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。総合ランキングのトップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は1月20日(土)~1月26日(金)までを観測(1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェック)した結果をお伝えする。

『離婚しない男』が初登場首位、『婚活1000本ノック』『君ここ』が2位・3位に

 今回の結果は以下のとおり。

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 番狂わせ、と言おうか。20日に放送が始まったテレ朝土曜ナイトドラマ『離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―』がなんと初登場1位に君臨した。同ドラマは第1話の見逃し配信(TVer、ABEMAなど)が21日~25日で300万回以上というハイペースを記録し、初回配信数でテレビ朝日歴代全番組史上トップという新記録を樹立。TVer再生数ランキングの推移を見ても、2日にわたって総合1位を獲得、総合トップ3を4日間キープし、最低順位は総合7位という驚異の勢いを見せた。その勢いはお気に入り登録者の増加率にも現れ、前週比+33.2万(27日0時時点)となっている。

 もっとも、『離婚しない男』の勢いを牽引したのは、放送までキャスティングが隠されていた不倫妻役を篠田麻里子が演じているという話題性だろう。過激なシーンのスクリーンショットと共にネットのまとめサイトなどでも拡散されたことで、脚本の鈴木おさむの狙い通りの「バズるドラマ」となった(篠田をキャスティングすることも鈴木の提案だったという)。『奪い愛、冬』『M 愛すべき人がいて』などの鈴木おさむらしい突飛なセリフ回しと強引な展開も面白がられてはいるが、第2話以降もバズるための“劇薬”を投じられるのか、そしてこの勢いが続くかは正直疑問だ。

 そして『離婚しない男』と僅差で2位となったのはフジテレビ系水曜ドラマ『婚活1000本ノック』。同作に勢いがあることは先週指摘していたが、初のフル集計となった今週は2位にまで浮上。TVer再生数ランキングでは総合トップ3内に2日、トップ10内に5日滞在など粘り強く、お気に入り登録者数も第2話を終えたところながら前週比+16.5万(27日0時時点)とまだまだ伸びている。視聴率面では第2話で世帯平均2.8%となるなど厳しい状況だが、気楽に見られるコメディとして今後もTVer人気上位に位置づけそうだ。

 続く3位は、先週1位だったフジ月9ドラマ『君が心をくれたから』。ライバルがまだ少なかった先週は2位以下に圧倒的なポイント差を見せたが、今週はさすがに勢いが落ちた。それでも4位の『春になったら』との差は大きく、こちらもTVer人気上位作品のひとつとなりそう。『君ここ』はお気に入り登録者数で今期2位(27日0時時点で92.7万)だが、今期1位の『新空港占拠』(27日0時時点で97.2万)との差を週を追うごとに縮めており、逆転する可能性も見えている。

今クールは「フジは好調、日テレは苦戦」に?

 フジテレビ作品は、前述のとおりカンテレ制作の月10ドラマ『春になったら』が4位となり、2位~4位を占めるなど勢いがある。

 一方で、前期から始まった金曜ドラマ枠は、前期の『うちの弁護士は手がかかる』が絶好調だったのに対し、今期の『院内警察』は厳しく、第2話が対象となる今週は、TVer再生数ランキングでの最高順位は総合4位で総合トップ10滞在期間はわずか2日、最低順位は37位と、勢いの衰えが明らかに。お気に入り登録者数も27日0時時点で41.7万に留まり、民放ゴールデン・プライム帯連ドラの中ではワーストから数えるほうが早い状況だ(『院内警察』より登録者数の少ないGP帯ドラマは放送が始まったばかりの作品のみ)。木曜劇場の『大奥』も伸び悩んでいるが、しかし深夜帯では、カンテレ制作の火ドラ☆イレブン『リビングの松永さん』が好調であり(お気に入り登録者数は27日0時時点で59.8万)、全体で見れば、今期のフジドラマは(TVer人気においては)今のところもっとも勢いがあると言えそうだ。

 続くのがテレビ朝日と言えそうで、初登場1位となった土曜ナイトドラマ『離婚しない男』のほか、木曜ドラマ『グレイトギフト』、金曜ナイトドラマ『おっさんずラブ-リターンズ-』、オシドラサタデー『恋する警護24時』と、深夜帯を中心にまずまず好調。いち早く放送開始となった『おっさんずラブR』は、ライバルが増えたことで当初の勢いはなくなったものの、第1~3話とTVer独占スピンオフでの累計が700万回再生を突破し、金曜ナイトドラマ枠歴代1位の勢いを見せている。

 テレ朝は、配信では深夜ドラマは強いもののGP帯は厳しいことが多かったが、反町隆史主演の医療ミステリー『グレイトギフト』は視聴率・TVerともに好調なのは特筆すべきところだろう。ただ『グレイトギフト』は、今週初フル集計で本人気ランキング5位まで上昇したものの、お気に入り登録者数は27日0時時点で47.4万、主に第1話を対象とした今週のTVer再生数ランキングでも最低順位が総合26位と下げ幅が目立つだけに、次週はもう少し順位を落としそうだ。

 なお、23日スタートということで本人気ランキングでは今週ランク外(21位)となった火曜ドラマ『マルス-ゼロの革命-』だが、放送開始したばかりながらTVer再生数ランキングでの最高順位が総合4位とトップ3内に入れておらず、苦戦となりそうだ。同じく、ABC制作の『アイのない恋人たち』(21日スタート)も最高順位4位という厳しい立ち上がりとなっている。

 意外にも苦戦しているのが日本テレビで、水曜ドラマ『となりのナースエイド』が善戦しているものの、(『大病院占拠』からの積み上げのおかげで)お気に入り登録者数で今期1位をまだキープはできている土曜ドラマ『新空港占拠』はTVer再生数ランキングで総合トップ10内滞在期間が3日、日曜ドラマ『厨房のありす』は21日にスタートしたばかりながら総合トップ10内滞在期間は2日に留まり、3作ともTVer再生数ランキング総合1位に届いていない。

 読売テレビ制作の木曜ドラマ『めぐる未来』も、深夜ドラマにしてはお気に入り登録者数の伸びが目立ったのに反して(27日0時時点で55.5万)、TVer再生数ランキングでの動きは鈍く、総合トップ50圏外となる期間もあり、第2話放送直後でもTVer再生数ランキングでの最高順位が総合10位という厳しい結果だった。日テレの深夜帯といえば、昨年4月期にスタートした金曜ドラマDEEP枠があるが、今期の『消せない「私」ー復讐の連鎖ー』は初回のあまりにエグいストーリーに視聴者が離れたか、トップ50圏外となる期間が目立ち始めるなど早くもパワーダウン。金曜ドラマDEEPは不倫した夫への復讐劇となる第一弾『夫婦が壊れるとき』が深夜ドラマとして初めて見逃し累計2000万再生突破という大ヒットとなったほか、2作目『癒やしのお隣さんには秘密がある』も見逃し累計1700万再生突破と好調だったが、前期の『秘密を持った少年たち』から不調だ。22日にスタートしたシンドラの『先生さようなら』が存在感を見せられるか。

 TBSはというと、先行している日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』がややふるってない(視聴率では11%台をキープと絶好調)。火曜ドラマ『Eye Love You』が23日に、『不適切にもほどがある!』が26日にスタートしたばかりで、この2作品がどうなるか次第だが、『Eye Love You』初回はXの世界トレンド1位、Netflixで日本のテレビ番組1位(25日)となるなど反響はあるだけに期待が持てそうだ。

 次週はいよいよ最後発となった『不適切にもほどがある!』もランクインし、今期冬ドラマの真価が問われる。はたして『離婚しない男』は次週、何位になるだろうか。

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新城優征(ライター)

新城優征(ライター)

ドラマ・映画好きライター。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

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