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『ブラックペアン』トップ3脱落、『スカイキャッスル』は2位に…TVerドラマ人気ランキング

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 在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2024年7月には月間動画再生数が4.8億回、同1月にはTVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)が3500万の過去最高記録を更新するなど成長は右肩上がりで続いており、無料見逃し配信サービスとしてのTVerはもはや定番となった。

 しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。

 そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェックし、総合トップ50の順位に対しポイントを付け、合計した結果からEI VISION独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は8月24日(土)~8月30日(金)までを観測した結果をお伝えする。

『海のはじまり』首位揺らがず、トップ5は『スカイキャッスル』『カテコワ』上昇

 今回の結果は以下のとおり。

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 ようやくオリンピック関連の放送休止の影響が収まり、通常運転に。フジテレビ月9ドラマ『海のはじまり』は、主演俳優の体調不良により8月26日の放送が特別編に差し変わったこともあってか、やや勢いが下がり前週比48ポイント減となったが、それでも2位との差は75ポイントあり、さすがの強さで8週連続の首位となった。お気に入り登録者数は引き続き今期ドラマで圧倒的1位となる192.3万(8月30日0時時点/以下同)で、今期2位の『ブラックペアン』(123.9万)との差は広がり続けており、覇権は今後も揺らぐことはなさそうだ。

 『海のはじまり』の1位は変わらなかったが、上位は大変動。今週の本人気ランキングで2位となったのは、先週3位のテレビ朝日木曜ドラマ『スカイキャッスル』だ。お気に入り登録者数の伸びは鈍いものの(72.9万で今期ドラマ10位)、TVer再生数ランキングでは総合トップ10に4日滞在、そのうち総合1位は1日以上と、先週よりも動きがよく、前週比13ポイント増に。最後発組だった同作は、ようやく折り返しと見られる第5~6話まで話が進み、浅見家をめぐるドロドロが加速し始め、謎の受験講師・九条(小雪)も本性を見せ始めたことで、盛り上がってきているようだ。ただし、9月5日の放送はFIFAワールドカップアジア最終予選のために休止となり、次の第7話まで1週休みを挟むため、次週・次々週はまた順位を落とすことになりそうだ。

 そして『スカイキャッスル』に5ポイント差まで迫ったのは、今週3位となったテレビ東京ドラマプレミア23『夫の家庭を壊すまで』で、こちらも前週比13ポイント増。ふだんは同じ月曜放送の『海のはじまり』が強すぎるためにTVer再生数ランキングで総合1位を獲れないことがほとんどだが、今週はついに総合1位を奪取したことがポイント増につながった。『カテコワ』が総合1位を獲れたのは『海のはじまり』が特別編だったことが最大の要因だろうが、こちらもついに第7話まで差し掛かり、松本まりか演じる主人公の逆襲が始まったのも大きいだろう。怒りと悲しみの狂気の芝居は回を追うごとに加速しており、演技合戦となっているのも見どころとなっている。

 なお『カテコワ』はお気に入り登録者数も伸び続けており、前週比+4万も伸びて93.1万に。先週の見立てどおりフジ水曜ドラマ『新宿野戦病院』(90.0万)を悠々と抜き去って今期ドラマ5位に上昇した。さらに今期4位のテレ朝オシドラサタデー『青島くんはいじわる』(93.6万)との差はついに1万以内にまで迫っており、『カテコワ』の増加幅を考えれば次週は『青島くん』も抜いて今期4位まで上昇すると見られる。

 8月12日の放送休止の影響がやっと抜けたTBS日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』は、今週4位に。3位との差は5ポイント、2位との差は10ポイントでまだまだひっくり返る可能性はじゅうぶんあるが、オリンピック前は、3位以下にある程度の差をつけて本人気ランキングの2位が定位置だったことを考えると、勢いの衰えが感じられる。TVer再生数ランキングの推移を見てみると、総合トップ10滞在期間は4日。オリンピック前の7月27日~8月2日週はというと、総合トップ10滞在期間は5日あり、トップ10からの脱落が速まっていることがわかる。シーズン1の主人公・渡海も登場するようになり、そろそろシーズン2の主人公・天城とそっくりな理由が解き明かされそうだが、あまり盛り上がってないのは少々気になるところだ。

 先週2位だったTBS火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』は今週5位にダウン。ポイント上は前週比10ポイント減とさほど下がっていないので、『ブラックペアン』が放送休止の影響から脱したのに加え、『スカイキャッスル』『カテコワ』が盛り上がっていることで相対的に順位を下げた印象だ。

配信人気で厳しさ際立つ今期日テレドラマ

 トップ5が大きく変動した一方、10位以下はほぼ変動ナシだったが、言及しておきたいのは日テレ土ドラ10『マル秘の密子さん』。オリンピック期間の放送休止にともないトップ15作品が脱落したことによる順位の繰り上げで8月3日~9日週のみギリギリ15位に入ったことはあったが、それ以外は本人気ランキングでは常にトップ15圏外となっている『マル秘の密子さん』。今週も20位と、ゴールデン・プライム帯の連ドラとしては厳しい結果となっているが、伸び悩む「ABC制作のテレ朝系日曜ドラマ」枠で始まった『素晴らしき哉、先生!』(19位)にも21ポイント差を付けられており、TVerでふるっていない様子が際立つ。

 日テレは日曜ドラマ『降り積もれ孤独な死よ』が13位、土ドラ9『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』が15位と、今期は(視聴率もさることながら)TVerでまったく勢いがない。お気に入り登録者数でも『降り積もれ孤独な死よ』は今期ドラマで11位(67.1万)、『GO HOME』は今期15位(57.2万)、『マル秘の密子さん』にいたってはテレ朝の『科捜研の女』(37.6万)より低い37.3万=今期18位だ。しかも8月31日は『24時間テレビ』のために『GO HOME』と『マル秘の密子さん』はまた放送休止となる。

 夏ドラマは、フジの『海のはじまり』が配信では覇権ドラマとなっている以外は、テレ朝、TBS、テレ東と横並びの印象だが、日テレだけがその戦いに入っていけていない状況だ。日テレは、当時深夜ドラマとして新記録を打ち立てる配信ヒットとなった『夫婦が壊れるとき』を生んだ「ドラマDEEP」枠(今期は姉妹バトルの『どうか私より不幸でいて下さい』)や、読売テレビ制作の木曜深夜枠(今期は木村昴主演の『クラスメイトの女子、全員好きでした』)といった深夜ドラマも今期は不振というのも痛いところ。さすがにここからの挽回は難しそうであり、もはや秋に期待といったところか。

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新城優征(ライター)

新城優征(ライター)

ドラマ・映画好きライター。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

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